41、

橘謙人はリビングの中央まで来ると、情け容赦なく手を離した。

ドンッ!

杉山夕晴の身体が、そのまま大ぶりな本革のソファへ叩きつけられる。

柔らかな革張りは痛みを大して和らげてはくれなかった。脇腹や腕に食い込んでいたガラス片が、衝撃でさらに深く肉へめり込む。

「ぅ……っ」

杉山夕晴は痛みに身体を丸め、ぼろぼろの服を冷や汗でぐっしょり濡らした。

荒い息が、何度も喉の奥で引っかかる。

橘謙人はソファの脇に立ち、見下ろすように彼女を眺めながら、ゆっくりと黒革の手袋を外した。露わになった両手には、無数の傷痕が走っている。

そのままバーカウンターへ向かい、戻ってきたときには救急箱と一本の烈...

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