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橘謙人はリビングの中央まで来ると、情け容赦なく手を離した。
ドンッ!
杉山夕晴の身体が、そのまま大ぶりな本革のソファへ叩きつけられる。
柔らかな革張りは痛みを大して和らげてはくれなかった。脇腹や腕に食い込んでいたガラス片が、衝撃でさらに深く肉へめり込む。
「ぅ……っ」
杉山夕晴は痛みに身体を丸め、ぼろぼろの服を冷や汗でぐっしょり濡らした。
荒い息が、何度も喉の奥で引っかかる。
橘謙人はソファの脇に立ち、見下ろすように彼女を眺めながら、ゆっくりと黒革の手袋を外した。露わになった両手には、無数の傷痕が走っている。
そのままバーカウンターへ向かい、戻ってきたときには救急箱と一本の烈...
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