45、
重い。
何かに身体ごと押さえつけられているみたいで、息がうまく吸えない。
杉山夕晴が目を開く。分厚い遮光カーテンが外の光を遮り、視界は薄闇に沈んでいた。
空気に混じる、やけに支配的な匂い。レッドシダーに煙草を合わせたような、乾いて甘くて刺さる香り。
――橘陸斗の匂いじゃない。
それは、橘の群れを裏切り、いまは海外でのさばるアルファ。橘謙人のものだった。
「……っ」
少し身じろぎしただけで、喉の奥から呻きが漏れた。
全身の骨がばらばらに解体されたみたいに、内側から鈍い痛みが広がっている。筋肉も関節も、酸を塗り込まれたように重だるい。
鎖骨の下。そこだけ、灼けつくような痛みがじ...
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