48、

だが――違った。

橘陸斗の瞳に宿る嫌悪は、いまにも零れ落ちそうだった。

彼は杉山夕晴を、射抜くように睨み据える。

女の顔は血の気を失い、豪雨に髪はぐしょ濡れになって、束になって頬へ張り付いていた。

生気のないその目に映るのは、いまの自分の醜悪な表情。

その視線が胸をちくりと刺し、苛立ちと殺意が一気に込み上げる。

「可哀想ぶるつもりか?」

陸斗は冷笑し、掴んでいた手を乱暴に引き戻すと、思いきり突き飛ばした。

「杉山夕晴。その三文芝居、いつまで続ける気だ」

もともと弱っていた身体は耐えきれず、夕晴は力なく泥へ尻もちをつく。

立ち上がろうともしない。ただ両手で地面を支え、俯き、...

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