54、

「やっぱり、お前はクズだな」

橘陸斗はそう吐き捨てると、杉山夕晴の細い首をいきなり掴んだ。

「5年前はどうだった?」

双眸は血のように赤く染まり、端整な顔がすぐ目の前まで迫る。吐息は荒く、怒気を帯びていた。

「その下劣な身体で、はぐれ狼どもを誘ってたのも、お前なんだろ?」

「言え。杉山雨音に見つかったから逆恨みして、人を使ってあいつを傷つけたのか?」

その問いは、橘陸斗の胸の奥に5年ものあいだ澱のように溜まり続けていた。

杉山雨音が当時のことを思い出し、今でも小刻みに震えるたび、杉山夕晴への憎悪は何倍にも膨れ上がる。

杉山夕晴は掠れた息を逆流させるように喘ぎ、視界がぶれ、景色...

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