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その温もりだけが、いまの杉山夕晴をかろうじて繋ぎ止めていた。
唇が震える。
「陸斗……」
意識が霞む。
暗黒の森の木のうろで、ぎゅっと抱きしめてくれた少年――命を懸けて守ると誓った、あの背中がよみがえる。
けれど次の瞬間、幻は霧散した。
杉山夕晴は全身の力をかき集め、重たい瞼をほんのわずかこじ開ける。
そこに、高く伸びた影はない。
見慣れた氷青の瞳もない。
隣に横たわっていたのは、小さな身体だった。
「ママ……」
やわらかな泣き声が、耳元で震えた。
星ちゃん。
高窓から漏れる月光を頼りに、夕晴は娘の真っ青な顔を見て息を呑む。
星ちゃんは夕晴の首にしがみつき、離れま...
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