第20章

しばらくすると食事が出来上がり、香ばしい匂いが部屋いっぱいに広がった。その匂いに刺激されて佐藤美咲は目を開け、むくりと上体を起こす。腹の虫がぐうっと鳴った。

向かいのソファには高橋詩織が本を読んでいるだけで、阿部蓮の姿はない。物音に気づいた詩織が、くすっと笑って言った。

「起きた?」

「うん」

美咲は髪をくしゃっと撫で、毛布を畳んでから本もきちんと置く。続けてスマホを手に取り、画面を確認した。

LIMEが二件。阿部蓮からだ。

阿部蓮【名刺】

阿部蓮【向こうに役が一つある。連絡してみろ】

美咲は一瞬きょとんとしてから、名刺を開く。

そこに出てきたのは、山田隼人のマネージャーのL...

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