第59章

そのとき、ドアが押し開けられた。佐藤恵子と阿部誠が、外の刺すような冷気を連れて入ってくる。入室するなり佐藤美咲の姿が目に入り、二人とも一瞬、動きを止めた。

佐藤美咲は佐藤恵子を見るなりぱっと顔を輝かせ、ベッドから降りて駆け寄った。

「ママ、誠おじさん!」

阿部誠はスーツ姿で、いかにも大事な席から戻ってきたばかりといった雰囲気だ。佐藤恵子も、襟元にファーの付いたロングドレスを着ている。阿部誠は佐藤美咲を見て、短く訊いた。

「今夜、付き添いか?」

佐藤美咲は一瞬だけ間を置き、こくりと頷く。

「うん」

阿部誠の目つきがふっと柔らかくなった。佐藤美咲の頭をくしゃりと撫でる。

「そっか...

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