第86章

阿部蓮も阿部誠も、親戚に囲まれてあれこれ話しかけられていた。とくに蓮のほうが人気で、ソファのこちら側に座っている佐藤美咲にまで、向こうの年上連中の声が聞こえてくる。

「もう三十手前だろ? そろそろ相手、見つけないと」

「お父さんなんて二十そこそこでお前を作ったんだぞ」

従姉がくすくす笑い、飴玉をひとつ口に放り込んでから言った。

「蓮と結婚したい子なんて、金城を一周できるくらいいるんだから。焦ることないでしょ?」

「でも蓮って、彼女すらいたことないんじゃないの?」

別の従姉も身を乗り出し、蓮の横顔をまじまじと眺める。阿部家の遺伝子が良いのは確かだが、今日集まった中でも蓮がいちばん整...

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