第48章 婚約者として彼女に接したいと願う

専属秘書はソファの背後に立ったまま、桐生瞳が階段を下りてきた瞬間、膝が抜けそうになった。

……本当に、彼女だ。

彼は思わず自分の上司を盗み見てしまう。なんだか、自分の命日が近い気がする……。

ところが、御堂瞬の反応は、その場の誰の予想も裏切った。

ついさっきまで嵐の前みたいな顔をしていた男の、まとわりつく冷気が――ふっと風にさらわれたみたいに消えたのだ。

「お二人、誤解です」

口元に浮かべたのは、作りすぎない、けれど隙のない笑み。声も柔らかい。

「本日は、確かにご挨拶に伺いました」

桐生明人は鼻を鳴らす。信じる気配はない。

「御堂代表、さっきの剣幕で“ご挨拶”は無理があるだ...

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