第53章 失踪の原因が分かった

彼女がSKTを知らないはずがない。

この世に、師匠がいつまでも心に引っかけていることなどそう多くはない。だがSKTだけは、間違いなくその一つだった。

彼女の師匠――長年世に姿を見せない医学の名手は、若い頃、遺伝性疾患を対象にした研究課題を主導していた。狙いは遺伝子組み換え技術によって、先天性の遺伝病を治すこと。

師匠の生涯そのものと言っていい心血の結晶。医学史を書き換えうる突破口。

それがいつの間にか外へ漏れ、渡るべきではない手に落ちた。

SKTとは、その成果が悪意で「作り変えられた」末の産物だ。

改造後、それは治療手段ではなくなった。別の何かに変質した。

服用すれば、ほんの短...

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