第61章 あなたを許した

沢渡令子も桐生明人も、返す言葉がなかった。

あの日のことは、いまでも目に焼きついている。二人とも桐生万理華を家から追い出したくはない。だが、胸に刺さった棘は、そう簡単に抜けるものじゃない。

「……お母さん」

桐生万理華は目を赤くして顔を上げた。

「お姉様に、お会いしたいの」

「この数日、病室でずっと考えてた。考えれば考えるほど、お姉様に申し訳なくて……私、間違ってた。あんな大勢の前で、お姉様のことを――疑わせるようなことを言って……」

唇を震わせ、万理華は必死に息を整える。

「ちゃんと、直接謝りたいの。許してほしいって、お願いしたい」

「お姉様が来てくれるか、聞いてもらえない...

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