第103章 松田未菜の報復

私は慌てて否定した。

「いいえ、違います。私はただ、和田社長に今回の提携について、どうか慎重にご再考いただきたいと——」

 和田由奈は鼻で笑った。

「奥様、無駄話はもう結構。この契約書は持ち帰って審査に回します。本気で提携を成立させたいのなら、山本社長ご自身に来ていただくことね」

 言い捨てると、彼女は私の制止も聞かずに会議室を出て行ってしまった。

 私はその場に立ち尽くし、遠ざかる和田由奈の背中を見送るしかなかった。胸中は複雑極まりない。

 山本宏樹の失踪は、今回の契約を白紙にしただけでなく、竹中グループに対する私の顔に泥を塗ったのだ。

 スマホを取り出し、再度山本宏樹に電話...

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