第124章 人と喧嘩した

耳に馴染みのある声だ。以前、どこかで聞いたような気がする。

 だが、どうしても思い出せなかった。

「……誰?」

「俺だよ、原口由真だ。忘れたのか?」

「ああ、あなたね」——原口由真。山本宏樹の悪友の一人だ。

 武田勇人と同じ穴の狢(むじな)である。

 以前、武田勇人に「今後、山本宏樹のことで私に連絡してくるな」と釘を刺したから、今回は別の人間を寄越したのだろう。

「言ったはずよ。山本宏樹に何かあったら、松田未菜に連絡して。私を巻き込まないで」

 私は苛立ちを隠そうともしなかった。彼らからの連絡にろくな話はない。どうせまた、山本宏樹が何か馬鹿な真似をしでかしたに決まっている。

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