第139章 私と福田翔陽をくっつける

彼の言葉はあまりにも優しく、私にはそれを拒む理由など何ひとつ見当たらなかった。

 けれど、片時も忘れたことはない。今の私が、既婚者という立場にあることを。

 考えてみれば、私は案外幸せ者なのかもしれない。石川萌香という掛け替えのない親友がいて、福田翔陽のような素敵な男性に想いを寄せられているのだから。

 結婚相手を見誤り、嫁ぐ先を間違えてしまったけれど——まだ、引き返す余地は残されている。

 私は何も言わずに歩いた。福田翔陽とは数年ぶりの再会だというのに、不思議とブランクを感じさせない。

 ふと、同じサークルに所属していた頃の記憶が蘇る。私と福田翔陽は、いつだって息がぴったりだった...

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