第150章 私は君に優しくないか

漂う空気が険悪さを増していくのを見て、今にも二人が掴み合いを始めるのではないかと危惧した私は、たまらず割って入った。

「騒ぐなら、他所でやって」

「それと山本宏樹。あなた、会社の帳簿に目を通したことはあるの? 今、経理がとんでもないことになっているのを知らないわけ?」

 山本宏樹は案の定、呆気にとられたような顔をした。私を拘束していた手を離し、眉を寄せる。

「なんだと?」

 私は乱れた服を整え、冷ややかな声で告げる。

「帳簿をちゃんと確認したことがあるのかと聞いているの。それとも松田未菜といちゃつくのに忙しくて、会社の存亡なんてどうでもいいってこと?」

 山本宏樹の顔色がどす黒...

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