第209章 松田未菜のために謝る

山本宏樹は奥歯を噛み締め、血走った目で私を睨みつけている。その形相は、まるで私を生きたまま食らい尽くそうとしているかのようだ。

私は彼と視線を合わせるが、心にはさざ波ひとつ立たない。

かつては深く愛したこの男が、今ではこれほどまでに赤の他人行儀で、憎らしい存在に成り果ててしまったとは。

「木村美玲、お前は本当にそこまで非情になれるのか? 俺たちはかつて、誰よりも親密な関係だったはずだ。過去の情に免じて、あいつを助けてやってくれないか?」

山本宏樹の声は微かに震えていた。それは、彼が見せる最後の足掻きのように思えた。

よくもまあ、そんな台詞が口から出たものだと呆れ返る。

自分の妻に...

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