第23章 ハート・オブ・ジ・オーシャン

松田未菜を見上げると、数日見ないうちに、以前よりも顔色が良くなっていることに気づいた。

彼女はハイヒールを履き、身体のラインを強調するチャイナドレスを身に纏い、妖艶な足取りでこちらへ歩いてくる。私の目の前まで来ると、髪をかきあげ、わざと首元のネックレスを見せつけた。

その首に輝く『ハート・オブ・ジ・オーシャン』を見た瞬間、私は目を見開き、身体が意思に反して震えだした。

この『ハート・オブ・ジ・オーシャン』は、世界に三つしか存在しない。

そのうちの一つは、母が私に残してくれた形見だった。

当時、母は重い病を患っていたが、私に何か思い出の品を残したいと、このネックレスを譲ってくれたのだ...

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