第232章 山本社長をもう愛していないのか?

山本宏樹が不器用な手つきで、私の指にその結婚指輪をはめようとしている。

その姿を見ていると、ふいに胸が痛み、同時にどうしようもなく滑稽に思えてきた。

「結婚指輪も、あなたも……もう、いらないの」

その言葉を口にした瞬間、山本宏樹の動きがぴたりと止まる。

彼は血の気のない唇を舐め、なおも何か言い募ろうとする素振りを見せた。

「木村美玲、俺はこの結婚指輪を買う時、本当に君のサイズに合わせて選んだんだ。卒業したばかりの頃を覚えているだろう? あの時、俺が贈った安い指輪……あれと同じサイズにしたんだぞ。サイズが合わないはずがないじゃないか」

「きっと、ここ最近の君が痩せすぎているせいだ。...

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