第234章 十倍の違約金

中村治郎の言葉を聞いて、胸の奥でムッとした感情が湧き上がった。すぐにでも山本宏樹のところへ怒鳴り込みたかったが、これはあいつが中村を通して伝えてきたことだ。直接問い詰めたところで無駄だろう。どうせまた、屁理屈を並べて私を言いくるめるに決まっている。

私は怒りを抑えきれず、つい声を荒らげた。

「……つまり、今は退職できないということですか」

中村治郎は申し訳なさそうに頷く。

「すみません、木村さん。こればかりは僕の一存ではどうにも……」

私は一つ、大きな溜息をついた。

「わかっています。あなたが悪いわけじゃありませんから。……それで、山本宏樹はいつ、私が辞めることを知ったんですか」...

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