第236章 隠し子

「木村先輩、そんな高いお店じゃなくていいですよ。一人数千円もあれば十分ですし。今回は経費で落ちないんでしょう? 会社の経費で落ちるときに、またいいもの食べに行きましょうよ」

皆が私を気遣ってくれているのは分かっている。

「いいのよ。せっかく皆で食事するんだから、楽しんでほしいの」

私が譲らないと悟ったのか、皆それ以上は何も言わなかった。

焼肉店の入り口に着いた途端、山本宏樹と松田未菜の姿が目に入った。

松田未菜のお腹はまだ目立っていない。けれど、彼女は絶えずお腹を撫で回している。まるで、自分が身籠っていることを周囲に知らしめたいとでも言うように。

山本宏樹は彼女に寄り添い、腰に手...

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