第25章 浮気相手の夫を守る

警察官の視線が私に向けられる。「彼女が言った通りか?」

私は首を横に振り、苦笑した。「お巡りさん、先に病室に押し入って挑発してきたのは彼女の方です。それに、私の猫を奪おうとしたんです。ミグちゃんは自分を守ろうとして、うっかり彼女を引っ掻いてしまった。彼女の顔の平手打ちも、先に私の髪を掴んで殴ってきたから、抵抗しただけです」

この言葉は、嘘とまでは言えない。

先に挑発してきたのが松田未菜だったのは、紛れもない事実なのだから。

「木村美玲、本当に嘘つきね! 警察官の前でよくもまあそんな出鱈目が言えるわね。見てくださいよ、私の傷の方がよっぽど酷いじゃないですか。絶対にこいつが先に手...

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