第262章

「美玲、もうあんなに時間が経っているのに、あの看護師が認めるわけないじゃない」

石川萌香はそう言って顔を上げ、涙ぐんだ瞳で私を見つめた。

「美玲、実はもう一つ……ずっと言えなかったことがあるの」

私は胸が締め付けられる思いで聞き返した。

「何があったの?」

「実はね、前の病院にいた頃、院長と少し揉めたことがあって。あの手術事故の後、院長は私をクビにしようとしたの。私が必死にお願いして、やっと残ることを許してもらえたんだけど、その条件が……」

萌香が言い淀んだので、私は居ても立ってもいられず問い詰めた。

「一体どうしたの?」

「院長と裏で契約書を交わしたの。その病院に最低十年間...

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