第294章 もう恨まない

山本宏樹がこれ以上追ってくることはなかったが、代わりに松田未菜が後をついてきた。

「木村美玲、あなた、本当に私を恨んでないの?」

松田未菜がまたどういう風の吹き回しかは分からないが、彼女は眉をひそめ、信じられないといった顔をしていた。

「恨むような理由が、何かあるんですか?」

私はそう問い返した。

ふっと軽く笑みをこぼし、彼女のわずかに膨らんだ腹部へと視線を滑らせる。最近食べ過ぎて少し太ったのか、それともお腹の中で子どもが日々育っているせいなのかは分からない。

彼女の下腹部は、以前のような平坦さを失っていた。

考えてみれば、実になんとも不思議なことだ。小さな命が、お腹の中でゆっ...

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