第88章 もう好きじゃない

「山本宏樹、いらないと言ったはずよ」

「今後、私が山本の妻としてパーティーに出ることは二度とないわ。だから、こんなアクセサリーも必要ない」

 以前の山本宏樹は、私にアクセサリーなど一つも贈ろうとしなかった。

 パーティーのために身につける宝石類はすべて、終わればそのまま彼に返却しなければならない。

 私にはそれらの所有権などなく、あるのはただの使用権だけだったのだ。

 界隈の人間も、私のそんな立場を薄々察していたのだろう。

 だからいつも、そのことをネタにして私を嘲笑っていた。

「いらないわけがないだろう。アクセサリーを嫌がる女なんていない。お前は嫌いなのか?」

「好きか嫌い...

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