第101章

「詩音のスタジオは立ち上げたばかりで、まだ至らない点が多くてですね」

和也はゆっくりとした口調で、石井社長を気遣うような表情すら浮かべてみせた。

「それに、彼女は女です。会社を背負い、社長のプロジェクトを担うことなど、到底できるはずがありません」

和也が自分たちを貶めているのだと瞬時に理解した葵は、怒りで顔を真っ赤にし、両手でテーブルを突いて立ち上がろうとした。

だが、腰を半分ほど浮かせたところで、横から伸びてきた手が彼女の手首を静かに押さえた。

葵が視線を落とすと、詩音はこちらを見ようともせず、目の前のグラスに目を向けたまま、指先に力を込めて葵を座らせようとしていた。

葵は唇を...

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