第105章

園長の顔に浮かんでいた困惑と諦めは、いつしか卑屈な笑みへと変わっていた。彼女は両手を伸ばして札束を抱え込み、少しずつ自分の胸元へと引き寄せる。

「十分です、これだけあれば」

詩音は金を出す手を止め、顔を上げた。軽く顎をしゃくり、証拠を出すよう促す。

「おっしゃる通り、バックアップは取ってあります」

園長はそう言いながら、机の上の札束を整え、ゆっくりと引き出しに押し込んでいく。その声は、先ほどよりもずっと緊張が解けていた。

「ですが、お渡しできるのは監視カメラの映像だけです。黒幕の情報と言われても、私にはどうすることもできませんからね」

詩音は冷ややかに頷いた。

そもそも、この園...

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