第113章

周囲の視線がすべて自分に突き刺さるなか、目の前に立つ和也の眼差しがあまりにも熱を帯びていて、琴音は内心、焦りで焼き切れそうだった。

(焦っちゃ駄目)

琴音は伏し目がちに長い睫毛を震わせ、きゅっと唇を噛む。まるで、とてつもない理不尽に耐え、必死に言葉を飲み込んでいるかのような、痛ましい姿を作ってみせた。

やがて、大きな瞳にみるみると涙が滲み、今にも零れ落ちそうに揺れる。

「だって、あれは……もともと私のところにあったのに……」

細く頼りない声は、鼻にかかっていて、喉の奥からやっとの思いで絞り出したかのようだった。

「スタイリストさんも何も教えてくれなかったし、私、知らなくて……それ...

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