第百四十五章

彼が指摘した箇所は、どれも数字が過大であったり、論理が破綻していたり、あるいはまったく見当違いの時期を引用していたりするものばかりだった。

悟は言葉を継いだ。

「それに、実権を奪われるリスクすらある」

詩音は心臓を跳ねさせた。

プロジェクトが始動してから実権を奪われでもしたら、冗談では済まされない。

もし小境慶昭が、本当にそんな骨抜きにされやすい案件を回してきたのだとしたら、彼女をいいカモとして食い物にしようとしていることになる。

詩音は指先を微かに丸め、白くなるほど指の腹に力を込めながら、険しい顔で悟を見つめて低い声で問いただした。

「つまり、この案件は実権を奪われるリスクが...

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