第33章

電話越しに和也がまた何度か皮肉を浴びせてきたが、詩音はすべて馬耳東風と聞き流し、ただ出資者の資料を送るようにとだけ伝えた。

会場に到着すると、詩音はすぐさま人混みの中から標的を見つけ出した。

歩み寄り、堂々と身分を明かして二言三言言葉を交わした後、退社前にわざわざまとめておいた資料をバッグから取り出す。

上品な笑みを浮かべ、優雅な所作で差し出した。

「尾又社長、こちらは私個人のこれまでの実績をまとめたものです。どうぞご覧ください」

尾又社長と呼ばれた出資者は笑顔でそれを受け取り、感心したような視線を彼女へ巡らせた。

「存じ上げておりますよ。藤原社長の良き奥様だ。仕事が早く、非常に...

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