第41章

翌日、詩音は会社に足を踏み入れた。

顔認証のタイムレコーダーを通過した瞬間、無機質な音声が響いた。

「詩音、遅刻です」

一瞬にして、周囲の時間が止まったかのようだった。

近くのデスクにいた社員たちが一斉に顔を上げ、何十もの視線が彼女へと突き刺さる。

しかし詩音は気にする素振りも見せず、平然とした顔で人波を抜け、自分のオフィスへと真っ直ぐに向かった。

その背中が見えなくなるや否や、押し殺されていたざわめきが、沸騰した湯のように弾けた。

「珍しいな、雪見部長が遅刻するなんて」

「クライアントとの打ち合わせじゃないの? 雪見部長が無断で遅刻するわけないし」

「ここだけの話、雪見部...

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