第44章

琴音の声だ。

また何を企んでいるのだろうか。

詩音は無表情のまま玄関に立っていたが、心の中では疑念が渦巻いていた。賢治が自分と琴音を同時に呼び出した意図は何なのか。今の騒動だけでは物足りないとでも言うのだろうか。それとも、これを機に離婚させようとでも?

考えれば考えるほど、詩音の眉間は深く寄っていく。

あの離婚協議書さえあれば、離婚後に本来の自分の財産をすべて取り戻せる。だが、もし賢治が介入してくれば話は別だ。藤原家の狡猾さを考えれば、財産分与で確実にこちらが痛い目を見るように仕向けてくるに違いない。

駄目だ。誰であろうと、私の計画を邪魔させるわけにはいかない。

詩音は大きく息を...

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