第53章

秘書からの報告を聞き終え、奈央は鼻で笑った。

「詩音が散々いじめられていた時は誰も口を出さなかったくせに、今になって火消しには必死なのね!」

傍らに立つ雪見家の二人の男も、同じように険しい顔をしていた。

これで完全に、決定的な亀裂が入ったというわけだ。

武治は青筋を立て、指先でトントンと机を叩きながら、極めて不機嫌な声で言った。

「藤原家との提携はすべて打ち切れ。一つも残すな」

「藤原家はここ数年、うちの援助をいいことに急拡大しすぎた」武治の声は、まるで些細な日常を語るかのように平坦だった。「レバレッジをかけすぎだ。観光開発プロジェクトにキャッシュフローを食われすぎているし、市場...

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