第62章

詩音の顔に、さっと異様な表情が浮かんだ。

声は確かに自分のものだが、こんなことを言った覚えは一切ない。

スマホを握る手がわずかに強張り、指の関節が白くなる。

音声はまだ再生され続けている。その中の「彼女」は、冷ややかな口調で、詩音がこれっぽっちも考えたことのない台詞を口にしていた。

「藤原家がなんだっていうの? 私の利益の邪魔をする奴は、みんな死ねばいい!」

コメント欄はすでに大炎上していた。

『つまり、今まで被害者ぶってたってこと?』

『この女、マジで怖すぎ。腹黒女は消えろ!』

詩音は深く息を吸い込み、炎にコメント欄を閉じさせた。そして指示通りに音声波形を開かせ、目の前にか...

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