第69章

蓮は駆け寄るなり詩音の前に立ちはだかった。小さな顔を真っ赤に上気させ、かつては純粋な慕情しか映していなかったその瞳に、今は刺すような憎悪をぎっしりと溜め込んでいる。

「全部、お前のせいだ! お前が妹をいなくしたんだ! 妹はもう一緒に遊んでくれないって、ママが言ってた! 全部お前のせいだ! ママに土下座して謝れよ!」

詩音は、完全に言葉を失った。

妹? 蓮に妹なんて、どこにいるというのか。

無意識に琴音へ視線を向けると、彼女はちょうど目を逸らしたところだった。無実を装うような横顔を見せているが、その口元に堪えきれず浮かんだ笑みが、すべてを物語っていた。

自分の子どもを武器にして、詩音...

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