第8章

和也の冷ややかな視線が彼女の顔をなぞり、その瞳が微かに動いた。

詩音の心臓が、一瞬で喉元まで跳ね上がる。

彼がサインするものが離婚協議書だと、絶対に気づかせるわけにはいかない。

言い訳を口にする前に、社長室の扉がノックされた。

二人が同時に振り向くと、アシスタントの佐藤七海が扉を開けて入ってきた。

詩音の姿を見た瞬間、彼の顔に一瞬だけ戸惑いが走る。

和也は手元の書類を置き、短く促した。

「用件を言え」

七海は息を呑み、声を潜めて報告した。

「社長……小林さんが、面接にいらっしゃいました」

その名を聞いた瞬間、詩音は和也を鋭く睨みつけた。先ほどまでの怯みは消え失せ、一気に気...

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