第89章

「和也!」

和也の姿を認めた瞬間、百合子の目にパッと光が宿った。

彼女はすぐさま和也のそばへ駆け寄り、その腕にすがりつくと、詩音たちを指差して声を荒らげた。

「見てよ、あなたが前に連れてきたあの女、外で作った得体の知れない男と結託して、この母親をいじめるのよ!」

和也の鋭い視線が詩音たちを薙ぎ払う。

瞬時に詩音と悟の距離の近さに気づき、眉を深くひそめた。もともと険しかった表情が、一気にどす黒く沈み込む。

「詩音」

和也は百合子の肩を抱き寄せ、庇うように前に出た。

「お前と悟で、年寄りをいじめてどうするつもりだ!」

「いじめる?」

詩音はただただ滑稽に感じた。顎をわずかに上...

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