第92章

だが、彼女はもはや世間知らずの小娘ではない。そう簡単に騙されはしない。

それに、この招待状は今の詩音にとって、喉から手が出るほど欲しいものだった。

彼女は引かずに問いただした。

「私に何をさせたいのですか」

小崎芳康はそれを見てため息をつき、一歩引いた。

「では、こうしましょう。雪見さんの通訳の腕は相当なものだと伺っています。現在、私のチームでは美しくて気品があり、なおかつフランス語が堪能な通訳をちょうど探していましてね。雪見さん、手伝っていただけませんか」

詩音は眉をひそめた。

間接的に仕事を押し付けられたようなものだ。

しかし、自分のスタジオのプロジェクトと、小崎芳康が持...

ログインして続きを読む