第九十八章

レストランにて。

詩音は通話を切った。その顔には不快感が張り付き、すっかり食事の気分も削がれていた。

しかし、ふと顔を上げ、向かいの席で静かに、そして優雅にステーキを切り分けている男を見ると、胸の奥にわずかな罪悪感が芽生えた。

ここ最近、自分はずっと悟と炎に迷惑ばかりかけているのではないか。ふと、そんな思いが頭をよぎる。

せっかく楽しく遊ぼうと出かけても、いつも自分の用事のせいで台無しにしてしまう。

今のランチだってそうだ。

彼女は深く息を吸い、ナプキンをつまんでゆっくりと口元を拭った。思わず身を乗り出し、言葉を探すように唇を噛んでから口を開く。

「悟」

悟は不思議そうに視線...

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