第110章 それだけでいい

ブレイン・ライアンは隊列の中央に立ったまま、眉ひとつ動かさない。

それどころか、手にしたステッキでアスファルトを――コツ、コツ、と優雅に叩いてみせた。

「サイラス。まさか、こんな傭兵崩れで俺が怯むとでも?」

ライアンの声には、見下ろすような嘲りが滲んでいる。

「お前がP国南部で派手に暴れてるのは、とうに察しがついていた」ライアンは鼻で笑った。「だがな。本物の資本の前じゃ、お前の薄汚い勢力なんて下水の鼠だ」

ライアンはサイラスの黒々とした銃口越しに視線を通し、その奥に隠れるシェリーを射抜いた。

「シェリー。俺の娘だ。帰ろう。お前には、最高のものを全部やる」

サイラスの大きな影の中...

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