第115章 おじいさん

シェリーが冷静に「なんで掴むの?」と聞こうとした、その瞬間。考えるより先に、口が動いた。しかも、よりにもよって、出てきたのはとびきり意地の悪い言葉だった。

「あなたがパパの言ってた、十年前にとっくに土に埋まってるはずのジジイ?」

空気が一瞬で凍りついた。

部屋の隅に控えていた黒服の護衛たちが、背中に冷や汗を滲ませる。――このガキ、正気か? 目の前の老人が一言吐けば、マアミの半分の組織が地図から消えるってことを、理解していないのか?!

だが、誰もが予想した「怒り」は来なかった。

老人は濁っているのに異様に鋭い目で、ソファのシェリーを冷たく値踏みするだけだった。

「サイラスの野郎……...

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