第116章 怒らせないで

その頃、ライアン荘園では――。

シェリーは装飾過多のドレスに身を包まされ、長いダイニングテーブルの前で苛立ちを隠しもせず座っていた。

背後には執事ウィンストン。燕尾服姿で、表情ひとつ動かさず立っている。

「シェリー様。背筋が三度ほど曲がっております。ナイフの角度も違います」

シェリーは盛大に白目をむき、手にしたステーキナイフをそのままこいつの鼻に突き立ててやりたい衝動を必死に飲み込む。

この半月――生活は、まさしく地獄だった。

シェリーは「本物の権力」というものも、嫌というほど見せつけられた。

二階の階段、その手すりの脇に座り、彼女は冷めた目で人の出入りを眺めていた。

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