第120章 彼女が欲しい

「お前の兄だ。アラリック・ライアン」

シェリーの胸が、どくんと跳ねた。

「シェリー。今、答えろ」

老人がわずかに身を乗り出す。

「いまこの場で、お前をあの島に放り込んだとする。助けを求めてくる仲間がいたら――迷いなく、このナイフをそいつの心臓に突き立てられるか?」

シェリーは俯き、机上の匕首を見つめた。刃は異様なほど薄く、光を吸うみたいに冷たい。

「……今は、できない」

正直に言うと、椅子の上で短い脚がぶらぶら揺れた。

「鶏を絞めるところだって見たことない。人なんて、なおさら。いまのわたしじゃ、柄もちゃんと握れない」

それでも、シェリーは顔を上げる。

「でも、覚える」

...

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