第26章 気が変わった

コネチカの奥深く――ライアン家の屋敷は、年中じめついた冷たい霧に包まれている。

三階の廊下の突き当たり。カーテンは息が詰まるほど固く閉ざされ、外の光を一切通さない。

十四歳のブルック・ライアンは闇の中に座り込み、モニターを睨んでいた。画面には東区、西区、そして海外の各児童養護施設から引き抜いた極秘記録が、凄まじい速度で流れていく。

「……まだ、いない」

ブルックは机の上のクリスタルグラスを掴み、壁の隅へ叩きつけた。

ガシャン、と乾いた破砕音。

コーヒーの染みが壁紙を黒く濡らし、ゆっくりと垂れていく。

十年。実の姉が消えてから。

彼はあの月の人口移動を洗い尽くし、Y市警の旧デー...

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