第31章 実の父

シェリーは胃の奥がひっくり返るような吐き気をこらえ、半歩退いて彼の手を振り払った。

「……ありがとうございます」

声を落として礼だけ言い、背を向けてその場を抜けようとする。だが――逃がしてもらえなかった。

「パパ!」

ねっとり甘い声が横から割り込む。

ソフィアが白いふわふわのドレスの裾をつまみ、花蝶みたいにひらひらと駆け寄ってきた。

「パパ、あの子よ。今日学校で、テーブルをひっくり返して、食事用のナイフまで私に向けたの。シェリーっていうの。しつけのなってない野蛮人よ」

ライアンの視線が、ふたたびシェリーに落ちる。

「シェリー? 俺の娘に手を出したのか。聞けば父親は牧場主だそう...

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