第33章 狂人!

シェリーは彼の腕の中で身を縮め、痛みに全身が冷や汗でびっしょりだった。息を吸うたび、喉の奥に鉄の味が広がる。

胃がぐわんとひっくり返り、シェリーはえずいた。けれど吐けたのは酸っぱい胃液だけ。

「シェリー!」リアムの声が震えていた。

いつもなら厭世と狂気を滲ませる琥珀色の瞳が、いまは焦りでぐらついている。

彼は乱暴にシェリーの口元を拭った。動作は荒いのに、指先の力だけが不自然なほど慎重で――壊れものに触れるみたいに、怖がっている。

「このバカ! 誰があいつを刺せって言った!」

歯を食いしばった低い怒号。怒りと恐怖で目の縁が赤く染まっていた。

シェリーは痛みに息を引きつらせながらも...

ログインして続きを読む