第44章 なぜ彼を一度も見ないのか?

スミスさんが、ようやくヒールの音を鳴らして教室を出ていった。

チャイムが鳴った途端、ソフィアの席の周りには、ライアン家に取り入ろうとする連中がわらわらと群がる。

シェリーはペンの尻を噛みながら、人垣の向こうへ視線を投げた。落ちた先にいたのは、赤毛の転校生――アン。

アンは輪の中に入らない。

最後列で、両手で顎を支えたまま、瞬きもせずにソフィアを見据えていた。

その視線の質感を、シェリーは痛いほど知っている。

サイラスが持ち帰る連続殺人犯の資料の中で、それはこう呼ばれていた。偏執的な所有欲。

アンがソフィアを見ているのは、新しいクラスメイトを見る目じゃない。自分のものだと決めた私...

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