第62章 警備って飾りなの?

シェリーは大きく一歩、後ろへ下がった。両手を胸の前で交差させ、でかでかと「×」を作る。

「ぜったいイヤ! なんか臭いし! さっき私のパン奪ったし! 子どもの食べ物奪うホームレスとハグなんてしない!」

サイモンの手が、宙でぴたりと固まった。

T州の裏社会じゃ、どこのギャングのお嬢様だって列を作って彼のスポーツカーに乗りたがる。――それなのに今、六歳のガキに露骨に嫌がられている。

腹が立ったかって? そんなわけがない。むしろ、ぷくっと頬を膨らませて怒るこのバケモノちゃんが、どうしようもなく可愛いと思ってしまった。

サイモンは手を引っ込め、立ち上がって膝の埃をぱんぱんと払う。

「ま、い...

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