第75章 スパイ

ラルフは悔しそうにくるりと背を向けると、脱兎のごとく自分の席へ逃げ帰った。もう二度と「友だちになろう」なんて口にしないだろう。

アンはというと、まるで怯えていなかった。

それどころか、瞳がきらきらと輝いている。

「シェリー、今の、めちゃくちゃカッコよかった! 映画のさ、爆発の中を歩いても絶対振り返らない女スパイみたい! ねえ、爆薬の威力ってどうやって見抜くの? 教えて!」

アンにぶんぶん揺さぶられ、シェリーは目が回りそうになる。

こういう女の子がいちばん苦手だ。

前世では地下室にいるのが当たり前で、まともな学園の友情なんて、どう扱えばいいのか分からない。

「爆薬は分かんない。シ...

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