第94章 褒めた?

シェリーの心臓が、喉までせり上がった。

さっき彼は、完全武装の誘拐犯を二人、瞬きひとつせずに殺した。

いまここで悲鳴を上げるか、背を向けたら――そのハサミは間違いなく、首に突き立てられる。

シェリーは胃の奥のむかつきを押し殺し、ぎゅっと握った小さな拳をスカートの裾に隠した。

泥だらけの顔を、ふっと持ち上げる。

「逃げる? なんで逃げるの」唇を尖らせる。「わたし、悪いことしてないもん。それにサイモン兄さん、さっきの動き……めちゃくちゃカッコよかった」

サイモンが固まった。フードの影の奥で、目に一瞬だけ困惑が走る。

六歳のガキなら叫ぶ。泣いて、また涙で騙しにくる。そう思っていたのに...

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