第99章 もう逃げられない

シェーンの氷みたいな声が落ちた、その直後だった。

ローズガーデンの外縁から、乱れた足音がどっと押し寄せてくる。

荒っぽい罵声。枝をへし折る乾いた音。

「この庭、ひっくり返せ! ガキはぜってぇここに隠れてる!」

シェリーは即座に、錆びたハンマーをシェーンの手に押し込んだ。

「シェーン兄さん、持って! もし突っ込んできて兄さんを掴もうとしたら、膝を思いっきり叩いて!」

シェーンは泥のついたハンマーを見下ろす。

けれど、シェリーの緊張で強張った小さな顔を見て、無言のまま柄を握り直した。

――仲間を守る。理屈より先に走る本能。

「ガサガサ――」

誘拐犯たちが灌木を乱暴にかき分けはじ...

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